写真:北野武監督。
北野武さん(74)の新作映画は、自らが発表した書き下ろし小説『首』の実写化です。北野武の映画といえばアウトレイジ(激怒、暴力、非道)が印象的ですので今回の新作でもアウトレイジな時代劇と予想されます。でも、原作小説を読んだ印象では、じつにコミカルにも描かれています。新作の映画はアウトレイジ+コミカルな新時代劇になると思います。
北野武監督の新作映画『首』はコミカル+アウトレイジ!
戦国時代末期の織田信長+豊臣秀吉時代が背景の時代劇です。日々が戦争ですからリアルにはアウトレイジな時代です。でも、それをそのまま描いては工夫というものがありません。小説『首』では曾呂利新左衛門という噺家がコミカルな視線でアウトレイジな時代の出来事の中を駆け抜けていきます。曾呂利新左衛(そろりしんざえもん)は上方落語の祖と言われるユニークな人です。笑えます。
北野さんは1989年に『その男、凶暴につき』で映画監督デビュー。圧倒的なセンスで続々と作品を世に送り出し、“世界のキタノ”と称されました。デビュー作が「凶暴」がテーマであり、北野監督の映画というとヤクザたちの抗争を描いた『アウトレイジ』シリーズが有名です。が、それはヤクザ映画ファンが一定数おり収益が見込めるからであって、たけしさんが自ら立ち上げたオフィス北野という“会社の利益のため”でした。
2019年から映画監督 最終章を意識している北野武
大ヒットした映画『アウトレイジ 最終章』が2017年です。2018年に「オフィス北野」を退社しました。「年齢的にも体力的にも、70歳を過ぎて自分でやりたいこともあるし、今後の残された人生を考えていく」と報じられたものです。
北野武監督には『菊次郎の夏』(1999年)といった暴力なしの作品や、2007年には『監督・ばんざい!』(2007年)といったコメディー映画も撮っています。
最新作は戦国時代のアウトレイジなバイオレンスとコメディーが合わさった本来の北野武さんらしい作品になりそうです。
文藝春秋2019年1月号からの抜粋、引用です。↓
作家「伊集院静」さんとの対談です。北野武さんとは草野球がとりもつ縁だそうです。
たけし-いま、ずっと映画にしたいと構想している。本能寺の変を題材にした「首」って歴史物を、小説とシナリオで同時に進めてるんです。片っ端から史料を読んでノートを取るでしょ。そうすると、こんなに積み上がっちゃって。どうしていいか書きあぐねている感じですよ。
伊集院-ちょっとしたきっかけがあればそこから飛躍するのはあっという間ですよ。私も取材をするけれども、実際の小説は資料や聞いた話とは別に育っていくから。
たけし-今年は小説を六本書いちゃったんで、来年はしっかり「首」に集中しようかと思ってるんです。
(文藝春秋2019年1月号)
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この対談の司会、構成の作家岸川真さんは小説『首』の構成にも関わっておられます。
まとめ
北野武監督の新作映画『首』は単なるバイオレンス、アウトレイジなものにはならないと思います。
配役、曽呂利新左衛門をビートたけしさん! が演じてくれたら楽しいとおもいますが、いかがでしょうか。