立松和平『ボクシングは人生のご飯』『迷ったら魂に』懐かしい名言。

立松さんの「自然って偉大ですね」のセリフが懐かしい!

作家・立松和平さん・・・テレビ朝日「ニュースステーション こころと感動の旅」でした。・・・

「自然って偉大ですね」「感動です」・・・このセリフで時の人にもなられた。

「やっぱり人生は、覚悟を決めないとダメなんだね」

「自分の魂にうそをついたら、いい人生は送れない」

「もし迷ったら、魂に聞け」「魂が嫌だと言うなら無理をすることはない」

「僕はあらためて思うんですよ。好きなことをやってきて、本当によかったな、と」

立松和平さんの言葉は左脳(知性)よりも右脳(感性)に響きますね。

特に・・・「心に植林・・」(文末に掲載)

あ、だめだ、感動がこみ上げてきます。

ふと何気になつかしくなることがあります。

あの人は今はどうしているだろう?

ボクシングが大好きだった立松さんです。立松さんは週一度ジム通いされていました。

・・天国でもボクシングジムに通ったりしているだろうか。いや、もしかしたら後楽園ホールのリングサイドのたまたまの空席に腰掛けているかもしれませんよ。

『ボクシングは人生のご飯です』(立松和平・昭和61年10月31日初版)はKAPPA HOMES(光文社)から出版されました。

え~、昭和61~ 35年も前の本を今ごろ・・どうした? あ~それはね、

きのう駅前書店で芥川賞受賞作「1R1分34秒」(町屋良平)という新刊のボクシング小説をみかけて、ボクシングかぁとなつかしくなり、帰宅して本棚を見回したら・・・あったんですぅ・・これが、「・・人生のごはん」が・・・。

何かのお導き、、そういうことかも、、しれません。

立松和平さん・・・1947年12月15日生まれで 亡くなったのが- 2010年2月8日、10年前に亡くなった立松和平さん・・・まだ62歳だったのですね。立松さんと一時期つきあいのあったYさんの話では、立松さん、月並みな言い方になってしまうが、ホントに気さくな優しい方だった、そうです。この本の出版を担当していた編集者といっしょに恵比寿の自宅を訪ねたのがぼくの仕事上の先輩Yさんです。ぼくもボクシングは大好きですがYさんのボクシング好きは大変なものですから、立松さんの話し相手にはちょどいいと担当編集者がYさんをつれていった。

本のタイトルはたいてい編集者がつけますが、このタイトルは立松さんご自身からのオファーでした。「人生のご飯」・・お、いいな、とぼくはおもいました。ご飯という言い方がいかにも立松さんらしいのです。本物のプロボクサーは減量のために試合一ヶ月前になると「ご飯」はほとんど食べない。でもボクシングファンはご飯を自由に好きなように食べます。この乖離のおもしろさもタイトルに浮き上がってみえますね。食べずにがんばるボクサーも計量がおわるとがんがん食べます。しょせん人間、ご飯なしでは生きられない。

ボクシングは人生のご飯です・・・。心のご飯、という意味でしょうか?

もちろんボクシングがなくても人は生きてゆきます。

ボクシングは人生のご飯です・・・。それをご飯ですよ、と宣告する意味は、せんじつめると、心のご飯、という意味だとおもいます。心、なんて言ってしまうと面映ゆいので比喩としての人生の・・・となったのでしょうね。

作家の北方謙三さんが、うまこと言ってくれています。

立松さんは、ボクサーたちの闘う姿を精神のご飯として食べた・・・

・・・彼のリングは白い原稿用紙であり、グラブはペンである。そして、闘うべき相手は、彼の心の中にだけいる・・・

・・本物のボクサーのような減量苦が、小説家にもあるのかどうかはわからない。ただ彼はボクサーたちの闘う姿を、ご飯のように食べた。肉体のご飯ではなく精神のご飯としてだ・・・

うん、うん、なるほど。

この本には立松さんと同じ昭和戦後を駆け抜けたボクサーたちのエピソードがあまた登場します。

昭和戦後を駆け抜けたボクサーたちのエピソード

白井義男

・・・世界フライ級王者。日本人初の世界チャンピオン

ファイティング原田

・・・世界バンタム級王者。フライ級に続き日本人選手初の世界タイトル2階級制覇。

大場政夫

・・・WBA世界フライ級王座を5度防衛。現役世界王者のまま事故死。

田辺清

・・・ローマオリンピック(1960年)のフライ級銅メダリスト。プロ転向、世界挑戦を前に網膜剥離で無敗のまま引退。

ガッツ石松

・・・WBC世界ライト級チャンピオン。引退後はテレビタレント、俳優として活躍。

浜田剛史(つよし)

・・・WBC世界スーパーライト級挑戦タイトル戦で1ラウンド3分9秒KO勝ち! チャンピオンに。

たこ八郎

・・・全日本フライ級チャンピオン。ノーガードで相手に打たせて相手の疲れを待つ戦法で有名だった。引退後はコメディアン。

赤井英和

・・・プロデビュウ12連続KO勝ち。WBC世界スーパーライト級タイトルマッチ7ラウンドTKO負け。対、大和田正春ノンタイトルで7ランドTKO負けで意識不明、急性硬膜下血腫、脳挫傷 搬送時生存率20%。奇跡的回復で以後はタレント俳優に。

大和田正春

・・・日本ミドル級チャンピオン。16戦14KO11敗。“浪速のロッキー”赤井英和を引退に追い込んだ。赤井の他にも頬骨陥没骨折で引退した対戦相手もいた。

輪島功一

・・・WBA・WBC世界スーパーウェルター級王者。リング上でしゃがみ込むようなダッキングで”かえる跳び”などと言われた変則右ボクサー。銀行強盗立てこもり犯人に警察官が「輪島を見習い人生をやり直せ」とマイクで説得した。

具志堅用高

・・・WBA世界ライトフライ級王者。13度の王座防衛最多記録。24戦23勝(15KO)1敗。最後の1敗で引退。

渡辺二郎

・・・WBA・WBC世界スーパーフライ級王者。防衛戦12連勝。現在ヤクザ(山口組系極心連合会相談役)で一般社団法人日本ボクシングコミッションはライセンスの無期限停止処分を下し、事実上の永久追放処分となっている。

モハメド・アリ

沼田義昭

小林弘

青木勝利

海老原博幸

パスカル・ペレス

矢尾板貞雄

新垣諭

風間清

あしたのジョー・・

・・ぼくの記憶にある拾い抜き書きです。まだあと十数人は登場します。(対戦ボクサー二人のパンチが交錯しリング上で同時にダウンし二人とも起きあがれなかった(中西清明・宮本昇)という珍しい記録も紹介されています。168頁)。

まとめ 心の中に一本の木を植える・・・名言

ボクシングファンは知り得たボクサーの数だけの人生の多岐をご飯にすることができます。北方謙三さんの指摘にあるようにそれは精神のご飯ですから、精神のカロリーとなって精神、心が強く大きくなる! とおもいたい。

資料的価値もある本です。誰か、索引をつけてリメイク出版してくれないかな。期待します。

あ、それから、立松さんのこの名言・・・

植林は今の時代を生きる人間の未来に向けての布施であり、木を一本植林することは、2本植えることなんですよ。実際に地球に1本ともう1本はその人の心に植えているんですよ。

・・・この言葉を思い出すと、立松さんのあの笑顔がふっと近づいてくるような気がします。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする