なぜ小池知事はできない「ロックダウン」を口にしたか?
写真はイタリア・ミラノ ロックダウン
作家、ジャーナリストの青沼陽一郎氏が小池都知事を激しく批判しています。
JBpress(Japan Business Press)日本ビジネスプレスでの記事です。タイトルはズバリ直言アタックです。
なぜ都知事はできない「ロックダウン」を口にしたか
たしかにヘンです。当時は(2020年3月23日小池知事記者発表)小池知事の発する「ロックダウン」という言葉の衝撃性に、わ、と驚きました。
4月に入り「ノアの方舟法則」通りの4月7日に安倍首相は緊急事態宣言を・改正新型インフルエンザ等対策特別措置法・により発令しました。東京など7都府県が対象で効力は4月7日から5月6日までの1カ月間です。
しかし安倍首相が断ったように都市封鎖、ロックダウンは含まれていない。終息予告宣言(?)と推測可能な緊急事態宣言(?)です。
・改正新型インフルエンザ等対策特別措置法・です。この法律のどこにも都市封鎖、ロックダウンの言語はありません。法律に基づかない発令は法治国家日本では不可能です。
都市封鎖、交通遮断などが可能な法律を探してもありません。
感染症法33条では、感染した場所が十分に消毒できていない場合はそこに人が集まらないように72時間以内で局所的に閉鎖し、そこに向かう交通手段を遮断できる。ただし、それは消毒のためであって広域的に人の動きを止めるために使える条文ではありません。しかも72時間(3日間)の縛りがあります。
ニュースキャスターを経て1992年に政界へ転身した小池知事です。政治家になって30年近くです。都市封鎖、ロックダウンが不可能であることを知らないわけがない。
小池都知事はロックダウンで危機意識を煽り脅す人心掌握術をつかった。
写真はフランス・パリ ロックダウン
では、“なぜ都知事はできない「ロックダウン」を口にしたか”――青沼陽一郎。
できもしないことを言って、東京都民の危機意識を煽ったのだ。脅した、と言ってもいい。
ここから「ロックダウン」という言葉が日本人の間にインプットされ、諸外国のような都市封鎖が起こるという印象を植え付けた。
では、なぜ危機意識を煽り、脅したのか?
ありもしないことを言って、相手を脅す。強迫の構図で相手の心を奪ってコントロールする。それはいわゆるカルト宗教の手法と同じだ。 オウム真理教の教祖の麻原彰晃(本名・松本智津夫)は、20世紀の終わりに「ハルマゲドンが来る」と予言して、それに怯えた若者を絡め取った。あるいは個人的に「地獄に堕ちる」と相手を脅して修行に駆り立て、心を支配した。
注;ハルマゲドン(世界終末に起きる善と悪の最終決戦の地)
小池都知事の「首都閉鎖」はオウム真理教の「ハルマゲドン」と同じ?
・・・オウム真理教の教祖、ですか。言い過ぎかもしれませんよ。小池都知事は座布団に座ったまま宙に浮けません。一緒にするなとオウムが言うと思います。
いえ、たしかに、小池知事は危機意識を煽り脅してマスコミや一般大衆の心を惹きつけました。手法としては成功しています。安全より危険を訴求するほうが牽引力は強いのです。睡眠中の人に安全を訴えても誰も起きないが、危険なら誰もが飛び起きます。
自粛規制要請の業種を巡り、あえて安倍首相に抵抗するのも、反政権・反権力という旗印を掲げる前回都知事選での成功実績からですね。
このまま都知事選圧勝という二階堂幹事長のシナリオ通りに運ぶのかと思うと悔しいですよね、青沼陽一郎 様。
青沼陽一郎氏 略歴
1968年、長野県生まれ。長野県長野高等学校、早稲田大学卒業。テレビ報道、番組制作の現場にかかわったのち独立。犯罪事件、社会事象などをテーマにルポルタージュ作品を発表。
著書
『池袋通り魔との往復書簡』(小学館文庫,2002年)
『帰還せず 残留日本兵 六〇年目の証言』(新潮社,2006年)
『オウム裁判傍笑記』(新潮社・小学館,2007年)
『食料植民地ニッポン』(小学館,2008年)
『中国食品工場の秘密』(小学館文庫,2008年)
『裁判員Xの悲劇 最後に裁かれるのは誰か』(講談社,2009年)
『私が見た21の死刑判決』(文春新書,2009年)
『フクシマ カタストロフ――原発汚染と除染の真実』(文藝春秋2013年))