週刊新潮「ビートたけし愛人妻の保険証詐欺」から騒ぎお粗末記事?

週刊新潮はコロナ報道では週刊文春を圧倒する記事でがんばっています。ありがとう。しかし合併号(5/7・14)の「ビートたけし愛人妻の保険証詐欺」はなんなんですか。記事の着眼点はユニークだが、記事の内容、レベルが低すぎます。取材記者、デスク、副編、編集長はこれで満足なのか?

まとめ から先に行きます。

まとめ

・ビートたけし本人に犯罪性はない。

・妻の冠に「愛人」をつける必要はない。

・妻に取材をしていない。

・医師にも取材していない。

・告発者にも詐欺共犯の可能性もある。

・記事冒頭、新型コロナウイルス云々30行は不要。

ビートたけし本人とコロナウイルスを無理にこじつけるな

記事の書き出しーーー「いくつかの国々では数百人規模で死者数が増え、医療崩壊も発生している。決して対岸の火事ではない」(3月28日の記者会見)ーーー云々(でんでん、ではなく、うんうん、でもなく、うんぬん笑)などと安倍首相のコメントを三つも並べているが、まったくビートたけし、あるいは妻、ネタ元の告発者運転手とは無関係ですよ。

医療崩壊 危機の折も折! 小見出しは、ま、週刊誌なので見逃しますが、ーーー国民皆保険制度、我が国の重要なインフラの一つだ。それを瓦解させる悪事に手を染めるものは、場合によっては「非国民」の謗(そし)りすら免れまいーーーなんなんですか、この大げさな書きようは。

もしかすると、記事本体の低レベルを覆い隠すための大げさな前フリなのか。そんなことをすれば「羊頭狗肉」の謗(そし)りすら免れまい。

いずれにしても、頭の中でだけ考えたこと、主観をだらだら費やしては面白くありません。社説や論説、論文ではないのです。客観視した取材内容が勝負どころであり、主観は最後にちょろりと出すから効果があるのです。そのようなことは、わかっていますよね。

ビートたけし本人の保険証詐欺犯罪への立証はおそらく不可能。

告発者がビートたけし本人を責めるのが目的ではなく、現在の妻を責めたいがための告発であることを配慮し過ぎています。

しかし「詐欺」という刑事犯罪を扱うならビートたけし本人にも疑いを向けなけねばならない。本人取材で「元運転手」の「保険証」を使ったことを知っていたら共犯、いや正犯にもなりますが、取材をかけていません。

告発者の意思に従ったのだと思います。本人取材なしで記事にしてしまえば、自分は知らなかった、と押し通すはず。

実際、ビートたけし本人はテレビ番組出演で、

財布も預けてあると関与を完全否定しました。

タレント、ビートたけし(73)が2日放送のTBS系「ニュースキャスター」(土曜後10・0)に出演。一部週刊誌が報じた、元弟子の保険証を不正使用したとの疑いを完全否定した。

たけしは番組冒頭で一礼した後、「頭来ちゃうのはこないだ変なうちの元弟子の野郎が変なこと言いやがって、売れてえんだかなんだか知らないけど、俺が保険持ってねえっていう話が出てきやがって」と声を荒らげ、「冗談じゃないと。俺は年間160万(円)も払ってるのに、保険証を持ってねえなんて、今怒ってるんだけど」とまくし立てた。

MCを務める同局の安住紳一郎アナウンサー(46)は「週刊誌の記事ですよね」と確認すると、たけしは「そんなことまでして売りてえのかって、腹立ってさあ」と語り、「お弟子さんですか?」の問いかけに「元弟子がねえ、俺のネタを売って食ってんだよ」としながらも、「まあ、誰も信用しないんだろうけど…」とこぼした。

安住アナは「私も記事を読みましたけど、お弟子さんが自分の保険証を使ってたけしさんが診療したということにして、薬をもらっていたと」と記事の概要を簡単に説明すると、「もともと俺の保険証はあるし、元々診療してんだよ。そいで、財布も預けっぱなしだから、そっから金払ってんのに、みんな自分がやったみたいなこと言ってんだ」と否定した。

「たけしさんは、思うところはないということですね」との安住アナが念を押すと、「俺、知らねえもん、だって」と強調し、「まあいいや、馬鹿馬鹿しい」とさじを投げた。

サンケイスポーツ(2020/05/02)

財布も預けっぱなしーーーは、日刊スポーツでは(元弟子)、日刊サイゾーでは(妻に)となっています。弟子に財布預けっぱなしはないと思いますが、どうでしょうか。

保険証詐欺指示容疑「妻」と薬処方「医師」に取材をしなかったのか?

この記事で最大の疑問が、妻や医師に取材をかけたのか、どうか。記事では一切そのことには触れていません。まさか、取材はしなかたった、そのような手抜きはあり得ないと思います。

連載で次号に続くなら、そう断っておくべきです。

しかし「特集」と銘打っています。特集記事は一回完結読み物として読者は楽しみます。ならば、メーンになる妻と医師への取材内容を明かすべきです。週刊誌の面白さは、取材記者の息遣いや足音が聞こえてくるような記事です。今回の特集内容では、それがまったく感じられません。

あ、それと記事内に「TAP」が突然出てきますが、(旧社名・オフィス北野)くらいの提示はしておいたほうがいいと思います。

頭で書くな、手で書くな、足で書け。足音が聞こえる記事にせよ。

つらつら文句を垂れました。愛読誌ゆえのクレームと思し召しください。

週刊誌記事の面白さは、新聞記事にはない臨場感です。テレビにはない活字の魅力です。頭で書かずに、手で書くのでもなく、足で書く。足音が聞こえる・・・週刊新潮の得意だったように思います。奮起あれ!

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