三浦春馬さん(30)の遺作ドラマになってしまったNHK『太陽の子・Gift of Fire』には、三浦春馬さんが海へ入水自殺するシーンがあります。これを、そのままオンエアしてはショッキングすぎるのではないかと議論になっています。
これが三浦春馬演じる特攻兵が海の荒波にむかって入るシーン。
写真:夜明け前の広くて大きな海のなかへ歩を進める三浦春馬さん。
気づいた兄(原爆開発研究学者)が追いますが、波にはばまれる。やっと追いついたが、暴れられ突き放されます。
ああ、間に合ったのです。兄が弟(三浦春馬さん)をこの世に連れ帰ります。
これをそのままオンエアしてもいいか、どうか?
ある日の夜、裕之(注:三浦春馬)は何かに導かれるように海に向かって歩き出し、そのまま入水自殺を試みた。結局、それは未遂に終わるが、裕之は「おれだけ死なんわけにはいかん…」と繰り返し、その場に崩れ落ちた。
同ドラマの試写は今月上旬にひっそりと開かれた。「鬼気迫る演技。特に目の芝居がすさまじい」とは関係者。
ただし、それには刺激も伴う。亡くなった三浦さんが遺した日記帳には、石村裕之の生涯と自身を重ね「散ることを見据えて残された日々をどう過ごすべきか」などと書かれていたという。週刊誌では、家族との金銭トラブルなど極めてデリケートな部分も報じられ、三浦さんの笑顔の裏に隠された苦悩がイメージしやすい状況にある。
「そうしたなか、未遂とはいえ入水自殺のシーンですからね。三浦さんの自死とシンクロしてしまう部分もあり、ショッキングに映る人もいると思う」(テレビ関係者)
発売中の「女性セブン」によれば、試写会場では三浦さんの迫真の演技に胸打たれた人のすすり泣く声がこだましたという。
「試写のままでいくか、それとも編集するのか。この手の内容は社会的影響も考慮しなければならない」(同)
どちらにせよ「俳優・三浦春馬」のすべてが詰まったドラマであることは間違いない。
東京スポーツ
試写会場では三浦さんの迫真の演技に胸打たれた人のすすり泣く声がこだました・・・。
放送予定日、8月15日(午後7時半~8時50分)にもテレビの前で全国の人人の涙腺が開きぱなしになるかもしれませんね。あとからオンデマンドえ観るという手もあります。
どうか、このまま放送してほしいと思います。
「俳優・三浦春馬」のすべてが詰まったドラマなのですから。
NHKドラマ、三浦春馬の遺作「太陽の子」のあらすじ
出典はNHK番宣です。
【あらすじ】
第二次世界大戦末期、京都大学の物理学研究室に海軍から下された密命は、核分裂のエネルギーを使った新型爆弾を作ることでした。核エネルギーの研究にのめりこむ一方で、兵器開発をすすめるべきなのか、どうかと悩みます。研究好きの石村修(柳楽優弥)は、純粋に実験に取り組もうとするが、時代の波に翻弄されていく。
弟の裕之(三浦春馬)もまた、
戦争に向き合わざるを得ない。そして、兄弟が秘かに想いを寄せる朝倉世津(有村架純)は未来を語ろうとするが・・・。戦争という時代に生きた若者たちの物語です。
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作・演出&制作統括・・・「太陽の子」に込めた思い
シナリオ・演出 黒崎博
一冊の古い日記を手にしたことが、始まりでした。
そこには科学に情熱を注ぎ、青春を燃焼させる若い研究者の日常が書かれていました。原子物理学という新しい学問へのじりじりするような憧れと、
一方でそれを兵器に転用することへの疑問。
その姿は知らない誰かではなく、私たちと同じように生き方を探し続ける等身大の若者として迫り、僕は心を揺さぶられました。
どうしてもその青春の形を物語にしたくなり、シナリオを書きました。
テーマに強く共鳴してくれた人々によって、この物語は作られました。海外からも大勢のスタッフが参加しています。国籍に関係なくたくさん議論し、考えました。
柳楽優弥さんは日本海に飛び込み、比叡山を駆けずり回って演じてくれました。
キャスト・スタッフと合宿しながら撮り進めた「格闘の記録」が一人でも多くの方に届くことを願っています。
制作統括 土屋勝裕
新しい映像表現への挑戦
太平洋戦争の末期に日本でも原子爆弾開発に翻弄された科学者たちがいた。
その事実に向きあい、科学と戦争というテーマに真正面から挑む作品を、8Kという最新の映像技術を使って作り上げました。
京都帝国大学のほこりっぽい研究室で、汗を垂らしながら物理の複雑な方程式と格闘する若者たちの姿が、まるでその場にいるかのようにリアルに迫ってきます。
物資が不足するなかで必死にかき集めた黄色いウラン、原子が崩壊するときにみせる青緑色の光、色のなくなった原爆投下後の広島の焼け野原、今までに見たことのない映像が、当時にタイムスリップしたかのように、ドラマの空間へと見るものを引きずり込みます。
重く苦しいドラマですが、どんな時代でも精一杯に生きようとしている人がいる、
その姿を最新の8K映像で目撃して頂きたいと思います。
三浦春馬は「特攻兵」に関わりが・・『永遠の0』でも・・。
死んで生きるのか、生きるために死ぬのか・・・戦争のもつリアルさを最大にシンボライズするのが特攻兵ですね。NHK「太陽の子」では療養のために一時帰国していた三浦春馬さんが、
「おれだけ死なんわけにはいかん…」
と叫びます。
2013年12月公開の「永遠の0」では・・死にたくない特攻兵・・の孫、フリーライター役を演じ、日本アカデミー賞助演男優賞を得ています。
死して華(はな)ひらく・・・のでしょうか。
特攻という役柄に縁(えにし)があったようにも思います。
写真は、「お役目、果たして、まいります」と母親に敬礼し、特攻兵の任務にもどるシーンです。
NHK「太陽の子」インタビューでは、三浦春馬さんは、こうコメントしています。
戦地で神風として散っていく仲間を目の当たりにしている彼の経験から、療養明け、もしかしたら自分も散るのかもしれないということを、一瞬たりとも、忘れていなかった、と思うんですね。明るい部分と、漆黒とした感情に移り変わるんだという、その酷(むご)さというものが表現できたらいいのかなと現場では思いました。
ああ、三浦春馬さん、最期のことばになってしまいました。
ご冥福をお祈りします。