アビガン、嘘か本当か。正式承認へー! 副作用は?

コロナ特効薬アビガンを開業医でも使える完全解禁はいつか?

アビガンがコロナに効く! 世界の国々から提供要請が入っています。政府は30カ国に無償提供するようですが、無償なら先に日本人に回せ、という我利我利な声もあります。

5月中に認可の関連記事はこちら↓です。

安倍首相VS厚労省 https://tomo3koko.com/abe-fight/

アビガンを開業医でも使えるようになる完全解禁はいつか?

安倍首相は緊急事態宣言記者会見で、

「本人が希望すれば使えるようにする」

「本人の希望や病院の倫理委員会の了承があれば使えるようにする」

「本人が希望する場合は、治験でなく、観察研究という形で使ってほしい」

と述べたが、よくわかりません。

・・

Web医事新報2020年3月30配信では

NEWS 新型コロナ治療薬として「アビガン」正式承認へ─安倍首相が「治験プロセス開始」を表明

大見出しが掲載されていました。「アビガン」正式承認、嘘ではないよね。と訝(いぶか)しげに見ると、正式承認に「へー」が付いています。へー、感嘆のへーじゃありません。「へ」プラス音引きの「―」です。

つまり正式承認が決定だと「へー」ではなく「に」で完結させます。「へ」は方向性を示す用語です。「―」の後に、安倍首相が「治験プロセス開始」を表明、と続きます。

まだ正式承認されたわけではありません。

緊急事態宣言記者会見での安倍首相発言をわかりやすく解体します。

まず、「本人が希望すれば・・・」。当たり前ですが、これをわざわざ言うのは、正式承認された薬ではないですよ、と念を押しているのです。

「病院の倫理委員会の了承があれば使えるようにする」とは何か?

病院は一般の開業医、医院や診療所とは違いますよと言っています。病院とは? 社団法人全日本病院協会の説明ではこうです。

写真はロンドン市内のセント・トーマス病院。入院中のボリス・ジョンソン英首相は快方に向かっているようです。

病床が20床未満であれば診療所、20床以上であれば病院。 診療所の場合、医師1人という施設が多いですが、病院の場合、最低3名以上の医師がいることが求められます。さらに、診療所では医師1人が診る患者数に制限はありませんが、病院では、「外来患者40名に対して医師1名」「入院患者16名に対して医師1名」が必要とされています。

次、「病院の倫理委員会」とは何か?

『日経メディカル』が発行する『がんナビ』には、こうあります。長文になります。お急ぎの場合はゴシック書体だけの拾い読みでも可です。

倫理委員会とは、

「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」では、臨床研究には「独立かつ公正な立場に立った倫理審査委員会による審査」による承認が必要と定められています。倫理委員会とは、臨床研究を実施する施設の長(病院長など)が設置する独立した委員会で、患者さんが参加する臨床研究が倫理指針に基づいて適格に計画され実行されているかを判断し、臨床研究の実施の可否、継続の可否について施設の長へ意見を述べることを目的としています。臨床研究に参加する施設は倫理委員会を必ず設置しなくてはなりません。

倫理委員会では、臨床研究への参加に先立ち、1)提出された臨床研究計画で目的とした成果が得られるか(科学的合理性)、2)研究対象者(患者さん)へ参加することでの負担を明確に述べているか、3)患者さんの受ける治療などのリスクと効果などの利益のバランスの評価が行われているか、4)患者さんへの臨床研究の説明同意文書が適格に作成されているか、5)患者さんの自由意志による同意を得る方法、ならびに、同意が得られなかった場合の患者さんの保護について書かれているか、6)個人情報等の保護の方法が書かれているか、7)提出された臨床研究の質(モニタリングや監査の方法)及び透明性の確保(利益相反など)が行われているか――等を審査します。倫理委員会では研究が開始された後も、臨床研究が適切に遂行されているか、有害事象などの発生状況はどうかなどを確認し、場合によっては臨床研究の中断を施設の長に意見する事ができます。

倫理委員会は審査を適切に実施できるように、委員会を構成する委員の要件についても定められています。1)医学の専門家、自然科学の有識者が含まれていること、2)倫理学・法律学の専門家、人文・社会科学の専門家が含まれていること、3)患者さんの立場を含めて、一般の立場から意見を述べることができる者が含まれていること、4)施設外の委員が複数以上含まれていること、5)男女両性であること、6)委員会は5名以上で構成すること――等です。

この中で、3)の患者さんの立場から意見を述べられる方を委員に迎え入れることが最も大事です。この連載を読まれ、がん治療を経験された方やそのご家族の方で臨床研究に興味をお持ちの方がいらっしゃれば、是非ご連絡下さい(ただし、多くの施設ではボランティアとしての参加になり、交通費程度の謝礼でお願いしています。また、倫理委員会の委員には年一度程度の臨床研究に関する研修会への参加などが義務付けられています)。倫理委員会の開催要件には5)の男女両性が参加することになっていますので、少数の委員での構成では、女性の委員の出席が無いと委員会が成立しないこともあります。

倫理委員会の審査は全員一致が原則で、結果は「承認」か「不承認」あるいは条件付き承認などがあります。不承認となる主な要因は「科学的合理性が認められない」が最も多く、成果を検証するための患者さんの症例数設定の不備や疑問が指摘されます。条件付き承認で、説明文書の不備が最も多く、分り易い説明文書への書き換えなどを指摘されることが多いようです。

病院のホームページには倫理委員会の委員構成、倫理委員会の審査結果などが公開されていますので、一度ご覧になって下さい。

・・・長文読解、ごくろうさまです。

次、「治験でなく、観察研究という形で使ってほしい」とは?

先ず「観察研究」という理科の実験宿題のような言葉から説明します。簡単かと思ったのですが、これが、また・・・。

文部科学省・厚生労働省「疫学研究に関する倫理指針」の中に記載されています。学術研究ですから文部科学省、疫学ですから厚生労働省が絡みます。詳しくは「疫学研究に関する倫理指針」を・・・、これまた長文です。要点一箇所、抜粋します。(ゴシック書体は筆者)。

「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」の規定に基づく感染症発生動向調査など、法律により具体的に調査権限が付与された調査が該当する。

指針の対象(診療と研究)

ある疾病の患者数等を検討するため、複数の医療機関に依頼し、当該疾病の患者の診療情報を収集・集計し、解析して新たな知見を得たり、治療法等を調べる行為

つまり、研究に使います、同意して下さいというのが「観察研究」です。研究との名目をたてるのは正式承認ではない、ということです。加えて「病院の倫理委員会の了承があれば・・・」との但し書きがあります。アビガン解禁ではなく、解禁へ向けて努力中です、と述べています。

次、安倍首相発言の「治験ではなく」の「治験」です。

日本SMO協会(JASMO)Japan Association of Site Management Organizationsが解説してくれます。

SMOは、治験施設支援機関(Site Management Organization)の略称。治験施設支援機関とは、病院などの治験実施施設の治験に関する業務を支援する外部機関―。

治験とは?

人における試験のことを臨床試験(治験)といいます。

治験は患者さんの人権や安全の確保に最大限配慮しながら、第Ⅰ相~第Ⅲ相のステップを経て、「くすりの候補」の有効性と安全性などを慎重に調べます。治験は、新しい薬を世に出すため欠かすことのできない過程なのです。

人を対象とした試験「治験」を実施する場合、参加していただく被験者さんの人権と安全性を確保し、倫理的な配慮のもと、科学的にかつ適正に実施されなければなりません。そのため治験には厳しく決められた基準「GCP(臨床試験の実施に関する基準)」がが定められています。

第Ⅰ相~第Ⅲ相のステップ

 

 

安倍首相発言は第Ⅱステップと推測します。

マスコミ報道は概(おおむ)ね承認へむけて「治験」を始めるなどとしていますが、日本独自の治験では普通は10年かかります。

薬品として製造許可は降りても使用許可が降りないコロナ特効薬アビガン

以上、ここまでを纏(まとめ)めます。事実は上記ですが、感情的にまとめると・・・わ、これって滅茶苦茶に時間、日数がかかるではないか。だから、安倍首相は「治験ではなく観察研究で・・・」と述べたのでしょう。下手すると、ずっと研究、という事態にならないだろうか。

アビガンはインフルエンザ治療薬、薬品としては製造許可は降りています。しかし使用許可が降りていないのです。じつに中途半端な状態です。こまではいいけど、ここからはダメよ・・・要(かなめ)を拒否していますね。

政府も200万人分備蓄していると発表しましたが、新型コロナウイルス感染症に使う場合は使用量が増えるとしてさらに130人分の追加備蓄を確保するとしています。わかります、わかります、政府のご努力は、ご意向は、でもでも。いつになれば誰でも使えるようになるのかがわかりません。

では、アビガンを開業医でも使えるようになる完全解禁はいつか?

完全解禁の予定日は未定?

以下は週刊新潮2020年4月9日号記事を参照しました。

・・実用化はいつか? 特効薬アビガンの謎・・

コロナ報道では週刊新潮がピカイチ、がんばっている。

コロナに関してはライバル週刊文春を週刊新潮が現在までは圧倒しています。コロナウイルス専門取材班が動いているようです。元々、社会ネタに強いのが週刊新潮の強みです。頑張って下さい。しかし間違いを一箇所見つけました。上のタイトル直前の記事、詰めの部分ですが、

・・コロナウイルス対策で手洗いやマスク着用の習慣が浸透し、1000人(新型インフルエンザ死者)程度で済んでいる・・

ここの“マスク着用”“浸透し”は不要です。インフルエンザ激減はコロナ対策の前、2019年12月からです。不思議な事実です。この事実の謎は解かれていません。

それはさておき。

同誌記事の中で

長野保健医療大学の北村義浩医師は、こう言っておられる。

「アビガンはインフルエンザの薬として、日本ですでに承認され、安全性試験も終えている。副作用の出方もわかっているので、明日解禁してもいい。ところが総理は会見で、”治験を開始します”と言っていたので落胆しました」

明日解禁しないのは、なぜか? なぜ改めて治験するのか?

それは新型インフルエンザと新型コロナウイルスではウイルスが異なるからです。対象ウイルスが違えば新たな治験が必要です。

しかし、北村医師の話では、中国が治験した1000人分のデータを使用し、専門者会議で決断すれば一週間後にでも供給は可能になるそうです。WHOもそれを奨めている。

要するに「決断」するか、しないかの問題。もしも、万が一、を恐れて動かないのが官庁、厚生労働省です。薬剤エイズ事件で課長が有罪判決を受けた例もあります。羹に懲りて膾を吹く(あつものにこりてなますをふく)とは過言かもしれませんが、中国のコロナウイルス治験も先入観を与えかねないので参考にしないと発言しているようです。

困ったものです。

中国はアメリカに次ぐ医薬品製造大国です。中国が医薬品の輸出を止めればアメリカは困るし世界が混乱します。製薬能力は群を抜いて高いのです。

ポリオワクチンで大英断し急遽輸入解禁した厚生大臣もいた、1958年。

大決断で成功したポリオワクチン解禁の実例もあるのです。前出北村医師によると、1958年、日本では治験を終えていないワクチンを当時の厚生大臣が“私の一存で輸入する”と決断し瞬く間にポリオの患者数は激減した。今なら加藤厚労省大臣が“やる”と決断すれば良い。

え? 知らなかった。 1958年? 厚生大臣て誰? 検索すると橋本 龍伍(はしもとりょうご)とありました。知りません、恥:? でも、橋本という名字は記憶にあります。そう、橋本龍太郎首相、内閣総理大臣ですよね。橋本首相の父、父親でした。1958年は昭和33年です。・・脱線話・・橋本龍太郎さんは麻布高校山岳部員でした。日本山岳会会員、日本山岳ガイド協会会長でした。青山墓地にある一家の墓とは別にエベレストを望むネパールのタンポチェ村に慰霊碑があります。登山家野口健はヒマラヤ登山の度に訪れて・・・あ、話、元へ。

アビガンの副作用、安倍首相も口にした「動物実験での催奇形性」とは動物での奇形児誕生の可能性ということです。

製造元の富士フイルム富山化学工業による「医師・薬剤師用」文書にはこう記されています。

本剤は、動物実験で、ラットで初期胚の致死が、マウス、ラット、ウサギ及びサルで催奇形性が認められ ています。ヒトにおいても、これらの作用の可能性が否定できないため、妊婦又は妊娠している可能性のあ る婦人に投与することは禁忌となっております。その根拠となりました動物実験の結果を以下にまとめまし たので、ご参照くださいますようお願い申し上げます。 なお、本剤のヒトの初期胚及び胎児への影響に関するデータはなく、妊婦及び胎児にどのような影響があ らわれるか不明であるため、妊娠期間における本剤の投与を禁止しています。

具体的には・・・女性に投与する場合は、投与開始前に妊娠検査を行い、陰性であることを確認した上で、投与を開始すること、投与期間中及び投与終了後7日間はパートナーと共に極めて有効な避妊法の実施を徹底するよう指導すること。

男性患者に投与する際は、投与期間中及び投与終了後7日間まで、極めて有効な避妊法の実施を徹底するよう指導すること。また、この期間中は妊婦との性交渉を行わせないこと。

厚生労働省が決断を渋るのは、万が一、催奇形性が胎児に現れれば世界的に非難を浴びかねない。禁止事項を患者が守らなかったとしても立証のしようがないからです。守ったと主張されたら反駁の方法がないのではないか。

アメリカでも毒性試験が行われ重篤な副作用や後遺症は認められていない。

日本医事新報、Web医事新報からアビガン開発者の白木公康富山大医学部名誉教授(千里金蘭大学副学長)の解説を一部紹介します。

————-

**アビガンは承認に至るまでに,考えうる種々の毒性試験が行われている。動物実験において初期胚の致死および催奇形性が認められたので,医薬品医療機器総合機構(PMDA)と米国食品医薬品局(FDA)の薬理や毒性の専門家たちから,多くの動物での安全性試験が求められ,実施された。健常人に対する毒性の懸念があれば,アビガンを薬剤として認めず,ヒトでの臨床試験をさせない選択肢もあったが,両機関は動物での安全性試験のデータから,妊孕性以外に問題がないと判断し,ヒトでの第Ⅰ相試験が始まった。動物実験では精子の減少が認められたが,ヒトでの試験では影響がないことが確認された。

**このほかの副作用については,上記の国内臨床試験および国際共同第Ⅲ相試験で重篤な副作用や後遺症は認められていない。胎児への影響に注意すれば,致死性RNA感染症をアビガンで治療することは問題ないと考えている。

**COVID-19の治療において重要であると考えていることは,感染者の3~4%に生じる急性呼吸性窮迫症候群(ARDS)に至る前に,間質性肺炎の発症を早く見つけ,遅れることなく,抗ウイルス薬治療を開始することである。間質性肺炎症状である「dyspnea,息苦しさ」は発症平均8日〔四分位範囲(中央の50%):5~13日〕後に検出されている。したがって,3日の発熱は他の感染症でもみられるので,4日以上の発熱が続けばこの感染症が疑われる(人によって平熱の値が異なるため,ここでは発熱の具体的な基準を示さない)。そして,5~6日に労作性呼吸困難を指標にして肺炎合併の有無をCTで検討し,治療を開始する。

**WHO事務局長が“kill”という表現を使ったように,COVID-19に殺されないためには,ハイリスクの年齢であったり基礎疾患を有しているのであれば,労作性呼吸困難(息切れや呼吸回数の増加)により肺合併症を早期に発見して,胸部CTで肺病変があれば,発症後6日にはアビガン治療を開始していただきたい。呼吸機能に予備能のない方を除けば,患者のADLを保ち,人工呼吸器装着者は減り,医療崩壊に至る可能性がなくなることが期待できると考えている。


まとめ  喝!!

アビガンが正式承認され、開業医でも使えるようになり、軽症の患者にも処方できれば重篤に進行する人は激減し、医療崩壊の心配も杞憂になるのです。

早ければ、5月連休明けには、解禁になるとの噂もあります。もっと早くならないか。

明るい話題が日本発で拡大すればインフォデミックも収まります。世界経済が息を吹きかえし、蘇生します。

何をためらっているのか、喝!!

追記:小文字(遠慮がち)で追加します。

病気は医者や薬にすがらなくても免疫力で治る。あ、大文字 笑

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする